2025.06. 17

「いき活」で初任給!

あぷりでは、コーポレートバリューを高める源泉として、有志活動の「部活動」をいうものがあります。
その中の一つ「接遇部」は、「ご利用者様にとって居心地の良い環境作り」とはなにか? を議論していたところ「役割」という話が出てきました。

 

これまでご自宅で生活をされているときは、掃除、洗濯、食事など身の回りのことを全てご自身でされてきたわけですが、介護施設にご入居されると、生活のありとあらゆることがケアスタッフが行って、ご利用者様自らが動くことはあまりありません。

「介護」(介助)という観点からすると、これは正しいことなのかもしれませんが、当社の経営理念『高齢者の未来にとびっきりの笑顔と感動を添える』に照らし合わせたところ、当社では違和感を覚えました。さらにご利用者様の中から「なんにもすることがない。暇で暇で仕方がない」というご意見もありました。

 

そこで、接遇部ではご利用者様に「役割」を担っていただこうという話になりました。
「役割」とは、各施設で発生する軽作業、例えば、「洗濯ものの畳込み」「おかずの準備や盛り付け」「食事後のテーブル拭き」「廊下の清掃」などを指します。当社では、ケア・キッチン・クリーンとそれぞれ担当部署はありますが、その中でもご利用様の役割として担えることができそうなことをお願いしています。

 

ご利用者様にお願いをすると、二つ返事でご了承いただけました。ご利用様の中には勤怠システムに登録し、お仕事をされるときに「出勤」「退勤」のチェックも行い、わずかながらですがお給料も支払っています。

 

若年性認知症の方にも、「役割」を担っていただくこともあります。
当初、お忘れになってしまうので、この役割を担っていただくことは難しいかなとスタッフは考えていましたが、身体が動くので、食事後の作業(テーブル吹きやカウンター周りの清掃など)をお願いすると徐々にその作業を「自分の仕事」を認識していただき、普段であればお食事のあとはすぐにお部屋へ戻られる方でしたが、「役割」を担われてからは、その作業をしっかりと“覚えて”おり、その作業が終わるまではお部屋に帰らないという状態になっています。

 

こうした作業を進めるたびに、「私もやりたい」「もっとやりたい」と他のご利用者様からの声が増えてきました。しかし、作業量には限度があり、多くの方々にお手伝いいただくことが困難となりました。

 

そうした中で、昨年末頃から高齢者の方でも簡単にできる軽作業の“内職”を探してきて、各施設で取り組むことになりました。この“内職”であれば、多くの方が関わることができるため、多くのご利用者様がご参加されました。また、ご利用者様が立派な仕事として取り組んでいるため、“内職”という言い方を改め、『いき活』というネーミングへと変更しました。

 

今回の『いき活』は、守秘義務の関係で、どのような商品を扱ったのか、あるいはどのような作業をしたかをお伝えするはできませんが、手先が器用なご利用者様はスピーディーに仕事をされて、一段落すると「もっとしたいわ」「ハヨ、次、持ってきてやぁ」と“仕事”を待ち望んでいらっしゃっています。

 

その『いき活』で、ある程度の報酬が貯まってきたので、このたび、『いき活』に取り組んでいらしたご利用者様にほんの些細な額ですが「初任給」をお渡ししました。

 

「久しぶりに給料をもろたわぁ」「お金なんかいただけるとは思わなかった」「いやーお金のためじゃなかったんやけど」「このお金を積み立てておいて、みんなで食事に行けたら良いね」といいろいろな反応が垣間見れました。中には涙するご利用者様も……。

 

いくつになっても「誰かの役に立っている」という気持ちが大切なのかもしれません。今後も当社では『いき活』を通じて、ご利用者様の可能性をますます広げていきたいと考えています。

 

らしく、
オモロく報

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